便秘症とは
便が長い時間出ないか出にくい状態を便秘と言い、便秘のために治療が必要な状態を便秘症と言います。急性便秘症の場合、急に激しい腹痛が周期的に生じるのが特徴的です。慢性便秘症の場合、数日間排便がなく、硬い便が出る時に痛がるという分かりやすい場合ばかりではありません。硬い便が直腸付近に居座って、その脇を比較的軟らかい便がすり抜けて出てくる場合もあるため、ほぼ毎日排便があるからと言って慢性便秘症を否定できません。
夜尿症とは
夜尿症は、「5歳を過ぎて週に2回以上の頻度で、少なくとも3か月以上の期間において夜間睡眠中の尿失禁を認めるもの」とされています。生まれて間もない赤ちゃんは、誰でもおねしょをしますが、成長とともに次第に排尿機能が整っていきます。尿が溜まる感覚や排泄したいという感覚を覚え、膀胱も発達して、ある程度まで尿を溜められるようになるからです。もっとも、排尿機能の発達には個人差が大きく、夜尿症はよく見られる症状です。5歳でもときおり見られますし、10歳時点で認められるケースも少なくありません。
夜尿症のタイプ
主な夜尿症の原因は、「夜間尿量が多いこと」と「夜間に膀胱が尿を溜められる容量が少ないこと」の2つであると考えられています。いずれにせよ、夜間尿量が夜間の膀胱の許容量を超えると、夜尿を招くことになります。なお、夜尿症は多尿型、膀胱型、混合型に分類されます。このうち多尿型は、夜間尿量が多いものの、膀胱の容量は正常なタイプです。膀胱型は、夜間尿量は正常なのですが、膀胱の容量が小さいタイプです。混合型は、夜間尿量が多く、しかも膀胱の容量が小さいタイプです。
主な原因
夜尿症の原因は幾つもありますが、よく見られるものとしては「夜間尿量の多さ」があります。夜間尿量のコントロールに関与している抗利尿ホルモンは、日中は少なく、夜間はたくさん分泌されますので、夜間尿量は抑えられ、昼間の尿量よりも少なくなります。しかし、小児期はホルモンの分泌状態が不安定なこともあり、夜間尿量が多くなり過ぎることがあります。
また、「膀胱機能の未熟」もあります。膀胱の容量が少なかったり、尿が溜まると膀胱が収縮してしまったりするなど、膀胱の機能が未発達というケースです。膀胱機能は成長とともに発達しますが、この発達の度合いには個人差があります。この他、「水分や塩分の過剰摂取」、「心理的ストレス」、「膀胱などの器質的原因」、「なんらかの基礎疾患の存在」なども考えられるので、これらの要因を慎重に見極めて治療を進めていきます。
夜尿症と便秘症
便が慢性的に貯留するために膀胱が圧迫されることで夜尿症を引き起こすことがあります。夜尿症治療の前に便秘症の治療が必要な場合もありますので、夜尿症で相談される際には排便状況についても情報頂くと助かります。
受診の目安について
便秘症の管理としては便を貯めないことが基本になりますが、頑固な便秘には薬の内服などのお手伝いが必要となってきます。腹部症状や排便習慣が気になる場合はご相談ください。
夜尿症の多くは、次第に治まっていきますので、心配し過ぎないようにしましょう。しかし、おねしょをすることで本人が自信を失ったり、外泊する際に精神的な負担が大きく掛かったりすることもあります。小学校入学時になっても夜尿が続いているになら、専門医を受診したほうが良いでしょう。また、日中も尿や便を失禁するようなら、何らかの原因疾患が潜んでいる可能性がありますので、やはり受診しましょう。